ベンチプレスは、フォームが正しくできていないと怪我のリスクが高まり、更に扱える重量、筋肥大効果までも低下してしまいます。これらを避けるためにも、怪我をする前にフォームを見直しておきましょう。
そんなわけで今回は、実際に筆者が5年以上かけて試行錯誤して得た経験をもとに、ベンチプレスの正しいフォームについて解説していきます。ちなみに、筆者はこのフォームで、ベンチプレスMAX140kgまで達成できていますので、ぜひ参考にしてみてください!
フォームの基本▶9つのポイント
①寝る位置
まずは、バーベルが鼻〜顎の真上にくる位置に仰向けになりましょう。これは人それぞれ、またはベンチ台によって変わってくるため、前述した範囲でやりやすい位置を探してみてください!
※「ラックの爪」とは、バーベルを置いておく部分の出っ張りのこと。
②足幅
足幅は肩幅程度に開いておきましょう。ただし、足幅の広さによって得られるメリットが異なり、狭くしたり広くしたりと様々なやり方があることは覚えておいてください。肩幅以外が間違いというわけではありません!
慣れてきたら、この基本の足幅から更にやりやすい足幅を探っていき、最終的には自分が最も力が入る足幅を見つけましょう!
- 足幅を広くするとバランスが取りやすい
- 足幅を狭くするとより脚の力をバーベルに伝えやすくなる
③足の位置
足は踵が膝よりも少し手前になる位置がおすすめです。
人によっては手前に足を引いたり、逆側に足を投げ出したりと様々なやり方があるため、少しずつ探って自分の力の入りやすいポジションを見つけてみてください!
- 足を手前に引くとブリッジ(フォーム)をキープしやすくなり安定する
- 足を投げ出すとより脚の力をよりバーベルに伝えやすくなる
④手幅
ベンチプレスでの適切な手幅は、教科書通りに説明するなら「下ろした際に前腕が地面に対して垂直になる手幅」です。ただし、目的によって適している手幅が異なるため、一概にこれが正解とは言えません。
ベンチプレスの手幅には、81cmラインに人差し指を合わせる「ワイドグリップ」と、それよりも手幅が狭い「ナローグリップ」と呼ばれるものもあり、それぞれに異なるメリットがあります。
- 「ナローグリップ」はより腕の力も使われるようになり、手幅が狭いため可動域は大きくなる
- 「ワイドグリップ」はより大胸筋を使うことができ、手幅が広いため可動域は少し小さくなる
簡単に目的別に分けると、より筋肥大を狙うなら可動域が大きい「ナローグリップ」、より高重量を扱いたいなら可動域が小さい「ワイドグリップ」が適しています!
※81cmラインとは、バーベルのローレット(ギザギザの滑り止め部分)の一部がライン上になくなっている場所を指します。
⑤握り方
ベンチプレスは、「サムアラウンドグリップ」という握り方が基本です。名称が難しそうですが、握ると言われたらほとんどの人がするであろう、ごく普通の握り方のことです。
⑥バーベルを乗せる位置
バーベルを乗せる掌の位置は、下図のように前腕の骨の真上が好ましいです。指の付け根あたりにバーベルを乗せている人が多いですが、それだと過度に手首が寝てしまい危険です。また、力を伝える効率も悪くなるのでおすすめできません。
バーベルを強く握り込むと腕が力みすぎてしまうため、掌にバーベルを載せた状態で指で覆う/包むイメージで握る意識をもちましょう。手首は寝かせすぎず、立てすぎず、少し寝かせるくらいが最も適切な角度です。
下図を見ていただいてわかるように、手首を立てると親指に重さが集中していまい、バーベルを保持するのが困難になります。高重量になるほどバーベルを支えるのは難しくなり、親指も痛くなってしまいます。それに対して、手首を寝かしすぎてしまう場合は、手首に過度な負担がかかり怪我のリスクが高まります。
⑦胸の張り方
胸を張ることによって怪我の予防効果、また、大胸筋により刺激を与えられるようになります。胸を張る際は以下のポイントを意識しましょう。
- 顎を引く(頭を浮かせないように)
- 首の後ろ側を伸ばす
- 胸を突き上げる(肩甲骨を寄せて下げる)
慣れていないとあまり胸を張れず、ブリッジを作れないかもしれませんが、練習をして少しずつ慣れていけばOKです。毎回作ったブリッジをキープ(崩さない)しながらベンチプレスをしていれば、だんだんブリッジが組めるようになっていきます。
当ブログでは、ブリッジを高くする方法も公開していますので、ぜひ参考にしてみてください!
⑧ラックアップ
ラックアップとは、バーベルをラックから外す(持ち上げる)ことを指します
ラックアップをしたら、肩関節の真上までバーベルを持ってきましょう。肩関節の真上が、肘を伸ばした状態でバーベルを保持していて最も楽なポイントです。ラックから外した後に、バーベルが肩関節より上すぎたり下すぎたりすると保持するのがキツくなるので、感覚を研ぎ澄ませましょう。
また、ラックアップをしてすぐに胸へ下ろすのではなく、一旦上記のポイントにセッティングしてしっかりと整えてから胸へ下ろしてきましょう。
⑨プレス動作
ラックアップを終えてポジションを整えることができたら、バーベルの真下に肘がある状態をキープしたまま胸へ下ろしていきます。下ろす位置はブリッジの高さ(胸の張り具合)によって変わりますが、大体の人は乳首辺り(胸骨の中心)に向けて下ろせばOKです。
挙上する際も、バーベルの真下に肘がある状態をキープしてください。このポジションが1番無駄なく力を使うことができます。また、上げ下げの際に胸の張りが崩れないよう、常に胸の張りをキープする意識を心がけましょう!
ベンチプレスの正しい軌道
多くの人が「まっすぐな軌道」や「弧が大きすぎる軌道」で行っていますが、正しいベンチプレスの軌道は、「若干弧を描くような軌道」になります。「弧を描く軌道」というものは有名な話なので、皆さん意識しているとは思います。
しかし、その意識が強すぎる人が多いため要注意です。というのも、大きく弧を描いて下ろすような軌道になってしまった場合、バーベルがお腹側に流れすぎてしまい、バーベルへ伝わる力も流れてロスしてしまうので逆効果になってしまいます。
このように、意図的に弧を描こうとすると、過度に弧を描いてしまう人が多いため、「バーベルの真下に肘がある状態を保ちつつ、乳首に向けて普通に下ろす意識」をしてみてください。こうすることで、自然に適度な弧を描く軌道を作ることができるはずです!
フォーム練習
軽い重量でひたすらフォーム練習
ベンチプレスを始めたばかりの人は、まずはバーベルだけでフォームの練習から始めましょう。いきなり重いもので練習を始めてもフォームが崩れてしまい、悪いフォームが身体に染み付いてしまうと怪我のリスクが高まってしまいます。
悪いフォームで慣れてしまう前に、軽い重量で正しいフォームを身に付けましょう。
高頻度練習でフォームを洗練
ベンチプレスは高頻度で練習することにより、フォームをより効率的に身につけることができます。せっかく良い感覚を掴んでも、次の練習までに期間が空いてしまうと同じ感覚を思い出すことが難しくなるため、高頻度で通常のトレーニングやフォーム練習を行うことをおすすめします!
基本ができたら応用へ
フォームの基本はすべての人に共通していますが、人によって骨格や強いポイントが異なるため、ベンチプレスを強化していくためには「教科書通りのフォーム」からより自分に合ったものへ変化させていく必要があります。
※ブリッジを作るなどの基本は変わらない
とはいえ、これはかなり難易度が高いため、時間をかけて自身の体で試行錯誤をしていく必要があります。現在ではベンチプレスが強い人たちがSNSでたくさん動画をアップしているので、それらを参考にたくさんのフォームや意識を試していけば自分に合ったものを見つけられるはずです!
初心者にありがちな間違い
よく見かける間違ったやり方は以下の通りです。
- バウンド
- ケツ上げ
- パーシャルレンジ
3つとも普通に行うよりも高重量を扱えてしまうため、リスクを考慮せずに重量の伸びばかり求めている人にありがちなエラーです。少しお尻が浮いてしまう程度であれば大丈夫ですが、腰を反ってまでお尻を思い切り浮かせてベンチプレスをするのは危険です。
また、胸の上で激しくバウンドさせる、パーシャルレンジ(胸まで下ろさない)も同じで、怪我のリスク向上やトレーニングの効果減少など、デメリットがあまりにも大きいのでおすすめできません。
ケツ上げベンチプレスに関する記事
トレーニング界隈では否定派の人が多いケツ上げベンチプレスですが、正しく行えばメリットも大きい方法です。ただし、それなりに怪我のリスクもあり、筋トレ警察(SNS上のアンチ)に見つかると面倒な面があるため、よく理解をした上で行いましょう。
まとめ
本記事のまとめです!
〈フォームの基本〉
- バーベルが鼻〜顎の真上にくる位置に寝る
- 足幅は肩幅程度に開く
- 足は踵が膝よりも少し手前にくる位置へ置く
- 手幅は下ろしたときに前腕が地面に対して垂直になる幅
- サムアラウンドグリップでバーベルを握る
- 前腕の骨の真上にバーベルを乗せる
- 肩甲骨を寄せて下げる意識で胸を張る
- ラックアップをして肩関節の真上へバーベルを持ってきて保持する
- バーベルの真下に肘がある状態をキープしながら上げ下げをする
〈フォーム練習〉
- 軽い重量でのフォーム練習を欠かさない
- 高頻度で練習をすると効率よくフォームを習得できる
- 基本ができたら自分の身体にあったフォームへ応用
- 重量を求めて危険なやり方をするべきではない
以上のポイントを意識してフォーム練習をしてみてください。フォームは重量アップにもケガ予防にも繋がりますので、ぜひマスターしましょう!
当ブログでは、他にもベンチプレスに関する役立ち情報をすべて無料で公開しています。誰もが憧れるであろう、ベンチプレスで100kgを上げる方法を解説している記事もあるので、ぜひ参考にしてみてください!