デッドリフトのフォームって難しいですよね。
デッドリフトは怪我をしやすい種目と言われていますが、フォームが正しくできていれば怪我のリスクはかなり小さくすることができる+重量UPも期待できます。
というわけで今回は、デッドリフトで高重量をあげるためのフォームの基本を解説していきます。
私は今回紹介するフォームで、デッドリフト100kgから200kgまで7ヶ月で達成できているので、ぜひ参考にしてみてください!
デッドリフトのスタンス

ワイドorナローの選択
デッドリフトには足幅が広いワイドスタンス(スモウスタンスデッドリフト)と足幅が狭いナロースタンス(コンベンショナルデッドリフト)の2種類のやり方があります。
2つの主な違いとしては、使用される筋肉です。とはいえ、使用される筋肉がまったく違うわけではなく、どこが大きく使われるかが異なります。

使用される部位
〈背中〉
- 僧帽筋
- 広背筋
- 脊柱起立筋
〈下半身〉
- 大殿筋
- 大腿四頭筋
- ハムストリングス
ボディメイク系の方は筋肥大のためにナローを選択することが多いですが、高重量を上げることが目的なら、可動距離が短く脚の力を大きく使えるワイドスタンスがおすすめです。
とはいえ、パワーリフターのとんでもない重量を扱う人の中にもナロースタンスの方はおり、身体(体型、強い部分)によってどちらのほうが重い重量を扱えるのかは異なります。
一般的に言われているのは、背中が強いor腕が長い人はナロー、脚が強い人はワイドの方が高重量を扱いやすいというものです。
しかし、日本人に多い体型だとワイドスタンスの方が力を発揮できる可能性が高いです。
ワイドスタンスのフォーム

①立ち位置
まずはバーベルの真下に靴紐の結び目(土踏まず)がくる位置に立ちましょう。
こうすることで、バーベルと脛の間の距離が指1〜2本分空くと思います。そのくらいの空間は空けつつ、それ以上バーベルと脛が離れないように注意してください。
離れすぎてしまうと無駄に力を使うことになってしまい、腰も丸まりやすくなってしまいます。
②手幅と足幅
ワイドスタンスの場合の手幅は肩幅程度でOKです。
続いて足幅は広くとりましょう。足を広げた状態でバーベルを掴みにかがんだ際に脛が地面と垂直になる足幅が望ましいです。

③膝と爪先の向き
ワイドスタンスの場合は爪先を45度くらいに開きましょう。
この爪先の向きと同方向に膝を割ります(開く)。
ここは非常に重要で、膝をしっかりと割れていないとバーベルを引き上げた際にバーベルと膝がぶつかってしまったり、膝を避けるようなおかしい軌道になってしまうため注意が必要です。
身体が硬いとしっかりと膝を割ることができない場合があります。身体が硬い方は柔軟性を高めておく必要があるので、下記のストレッチを行ってください。
④バーベルを握りに行く
バーベルを握りにいくためにかがみますが、上体が前傾しすぎないように注意しましょう。このときのおすすめの意識としては、腰を曲げて握りに行くのではなく、股関節から曲げて握りに行きます。

この際にもう一つ重要な意識として、かがむ際に膝を曲げすぎないように、お尻の位置は高く保ってください。
下図右のように、過度に膝を曲げてかがみすぎているとお尻の力が効率的に使えなくなり、力が入りにくくなってしまいます。

⑤バーベルを引き上げる
さて、ようやくスタートのフォームが完成したので、これからバーベルを持ち上げます。
いきなりフルパワーで「ガツン」と力を入れると怪我のリスクが高まってしまい、力もロスしてしまうので、最初は地面からバーベルが浮くまでゆっくりと力を入れていきましょう。
また、最初の地面からバーベルを浮かせる際に、腰の力で踏ん張ってしまう行為はかなり危険なので絶対にNGです。地面から浮くまでは主に下半身で踏ん張る意識を持ちましょう。


⑥軌道
軌道は真っ直ぐ上に引き上げ、下ろしの際も同じ軌道で戻します。
このときに最初の立ち位置の靴の結び目(土踏まず)の真上からバーベルがブレないように常に意識して動作を行います。
このときに脛がバーベルと擦れて痛い場合は、③の段階でしっかりと膝が割れていないか、動作中に膝が閉じてきてしまっている可能性がありますので意識してみてください。
ナロースタンスのフォーム

①立ち位置
立ち位置はワイドスタンスと同様、バーベルの真下に靴紐の結び目(土踏まず)がくる位置に立ちましょう。
バーベルと脛の間の距離を指1〜2本分くらいの空間を空けつつ、それ以上バーベルと脛が離れないように注意してください。
離れすぎてしまうと無駄に力を使うことになってしまい、腰も丸まりやすくなってしまいます。特にナロースタンスは腰が丸まりやすくなるので注意しましょう。
②手幅と足幅
ナロースタンスの場合、足は腰幅程度に広げましょう。
続いてバーベルの脚の外側(横)を握り、このときの手幅は肩幅と同じか少し広いくらいでOKです。

③膝と爪先の位置
ナロースタンスの場合もワイドスタンス同様に爪先を開きますが、開き具合は10〜20度と狭めで大丈夫です。膝の向きも爪先に揃えて若干開きましょう。
④バーベルを握りに行く
バーベルを握りに行く際に、ナロースタンスの場合はワイドスタンスの上半身の前傾具合よりも前傾がキツくなってしまいますが、それは間違いではなく仕方のないことなので大丈夫です。
だからといって過度に前傾させるのはNGなので、下図を参考にしてみてください。
また、ワイドスタンスと同様に膝を曲げすぎてしまうのもNGです。もちろん膝は曲げますが、膝を曲げすぎずお尻の位置を高く保ちましょう。

⑤バーベルを引き上げる
ワイドスタンスと同様に腰の力で地面から浮かせるのではなく、浮かせるときは主に下半身を使用して浮かせましょう。
また、引き上げの動作時は膝だけ先に伸ばすのではなく、膝と股関節を同時に動かすことが大切です。
どちらか片方のみが先に動いてしまうと腰に負担がかかりやすく怪我の危険性が高まります。

⑥軌道
軌道もワイドスタンスと同様に真っ直ぐ上に引き上げ、下ろしの際も同じ軌道で戻します。
スタートポジションの位置からバーベルがブレないように常に意識して真っ直ぐ動作を行いましょう。
呼吸方法

フォームが正しくできたとしても、しっかりと呼吸方法を意識して腹圧を高めなければ怪我のリスクは避けられません。
低重量を扱う低負荷なトレーニングの場合は、有名な「力を発揮する局面で息を吐く」といった呼吸方法でも大丈夫です。しかし、高重量を扱う場合は、呼吸を止める「バルサルバ法(怒責)」が効果的です。
息を止めるのは危険視されがちですが、高重量を扱うのに息を止めずに腹圧をかけられない方が危険です。腹圧が抜けた状態で高重量を扱うと、かなりの高確率で怪我をしてしまうでしょう。
息を止めることについての脳血管障害のリスクについては、下記の「スターティングストレングス」からの引用を見ていただければリスクの低さがわかるはずです。
身体の緊張とバルサルバ法を使うと脳の血管にかかる圧力は上がる。しかし、脊柱管の脳脊髄液を通して伝えられる脳室の圧力が同時に上がり、血管と同じだけの圧力を受けるため、血管が破裂するリスクは緩和される。頭蓋の容積がこの2種類の圧力に制限をかけ、血管を破裂させることなく、むしろ血管の構造を安定させる。
引用:スターティングストレングス P55(著作:Mark Rippetoe 監訳:八百健吾)
おわりに
今回解説したフォームは、まずは軽い重量で練習してください。
いきなり高重量で練習をしても100%フォームが崩れてしまうので、しっかりとフォーム練習やアップの際にフォームチェックを行いましょう。
デッドリフトはフォームが悪いと腰を壊してしまうリスクがかなり大きな種目なので、強くなるためだけではなく、怪我予防のためにもしっかりと正しいフォームを身につけるべきです。
当ブログでは、他にもデッドリフトで200kg上げる方法やベンチプレスで100kg上げる方法なども解説していますので、ぜひチェックしてみてください!

